アメリカではクリスマス前にバレエの『くるみ割り人形』“The Nutcracker”を観るのが、恒例行事となっています。日本に住んでいる頃には、『くるみ割り人形』はチャイコフスキーの作品であることくらいしか知りませんでした。誰もが一度は聴いたことのある有名な曲ばかりで、一部はコマーシャルで使われたりもして、どれも印象的で美しい楽曲だと思います。もちろん、『くるみ割り人形』の物語も知りませんでしたし、バレエを観たこともありませんでした。当然のことながら、三大バレエの一つということは、後から知ったことです。
ある年の12月に友人に招かれたホームパーティーの席で、今週末はナットクラッカーに行くんだというような会話がありました。“Nutcracker?”、でもすぐに『くるみ割り人形』のことだということは分かったのですが、何でそれをこの時期に観るのかが良く分かりませんでした。確か娘がまだ3歳で、バレエの鑑賞など考えたこともなかった頃です。
娘は2歳になったときから、バレエ&タップクラスへ通い始めました。クラスの名前にはバレエとありましたが、そこはアメリカンポップなスタイルのダンススクール“Dance Attack”でした。娘は、一応バレエ的な動きとタップダンス(タップシューズを履きます)の両方をリズミカルなアメリカンミュージックに合わせて楽しく踊っていました。でもそれが、娘をダンス好きにする基本となったのです。その時のクラスの先生にも恵まれたと思います。
4歳の頃には、バレエ&タップクラスの他に、バレエの基礎のクラスも取って、クラシックの基礎の基礎みたいなことも習いました。タップはとても面白いのですが、日本でバレエを続けることになったらと考えると、やはりクラシックバレエをきちんと習っておいた方が良いと思ったからです。
5歳になってからは、そろそろ本格的なバレエ専門のスクールに移った方が良いなと考えていました。その頃に何人かに薦められたのが、“Western Ballet”というバレエスクールでした。さらに偶然にも、友人にスプリングガーラ“Spring Gala”というバレエ発表会に誘われて、実際に舞台を間近に観て、娘もその場で気に入りました。シリコンバレーには数多くのバレエスクールがありますが、そのうちの一つを選ぶとなると本当に縁あってのことです。
そこで主役として踊っていたのは、当時14歳か15歳くらいの日本人のかわいらしい女の子でした。娘の目にはその彼女が輝いて見えたようで、最初の目標とするバレリーナ像になったのではないかと思います。
アメリカのバレエスクールで子供の頃から活躍している日本人の姿を見て、私もとても嬉しく感じました。
娘は早速、その夏からWestern Balletでクラスを受けることにしました。初めて教わった先生は、子供たちの年齢の割には厳しい先生かなと思ったのですが、その分しっかりと指導してくださって頼りになる先生でもありました。
9月に入ると、ナットクラッカーのオーディションがありました。オーディションと言っても、娘のクラスの希望者は誰でも参加できました。12月の発表会に向けて、特別に毎週土曜日にも練習が始まりました。少し長めの練習についていけるのかなと思っていたのですが、毎回とても楽しんでいたようです。と言うのも、待っている時間は、お友達と話したり、少し上のお姉さんが遊び相手になったり、上級生の練習を見ていることが、娘にとってはとても充実した時間だったようです。
最初の年は、ラッキーなことに天使とねずみの二役でした。ステージ本番の週には、リハーサルとして平日に3日間通い、本番は金曜日の夜、土曜日の昼と夜、それに日曜日の昼と夕方の5公演が行われます。リハーサルは平日ですので、翌日は学校があり、小さな子供たちにとっては大変なことだったと思います。でも舞台に立ってみると、それぞれが立派に役割をこなし、リハーサルよりもずっとかわいい笑顔で緊張した様子もなく、子供たちの表情は輝いていました。
二年目もねずみの役で舞台に出ました。待ち時間には、宿題をしたり、本を読んだり、中にはビーズのおもちゃやシールに塗り絵などを用意してくださるお母さん方もいました。保護者はボランティアとして子供たちと一緒に待っていなければなりません。毎年ほとんど同じメンバーが6日間も一緒に過ごすと、自然にチームワークが生まれます。私たち親子にとって、こうした経験は忘れられないものとなりました。
オーストリア出身の友人は、「子供たちはみんなナットクラッカーが大好きで、毎年発表会を楽しみにしている」と言っていました。確かに何度ステージを観ても、みんな生き生きとして楽しそうに踊っています。その代わり、上級生ともなると練習はほぼ欠かさず毎日しているそうです。
またナットクラッカーの最初のパーティーシーンは人気が高いそうです。そこでは大人が多数参加していて、堂々と優雅に踊っていました。
観客席の最前列で観たこともありますが、ダンサーは舞台の上を何度もジャンプしたり走り回るので、息が切れそうです。見た目の優雅さに比べて、もの凄い運動量であることがよく分かります。
友人のLisaが、“Do you have Nutcracker-mania in Japan?”と言っていましたが、日本では果たしてどうなのでしょうか? 11月から12月にかけて、アメリカではナットクラッカーの上演は星の数ほどあり、それを観ることを楽しみにしている人が大勢いるそうです。
きっと演じる側にとっても観る側にとっても魅力的なバレエの世界なのでしょうね。。。
きっと演じる側にとっても観る側にとっても魅力的なバレエの世界なのでしょうね。。。
帰国後、娘は近所のバレエスクールに通っています。予想通り、内容はきちんとしていますし、子供たちも真剣にレッスンを受けています。ただ低学年の子供たちには、『くるみ割り人形』に出演する機会がないのはとても残念です。
でもいつか再び『くるみ割り人形』の舞台に立つことが、娘の次の目標なのではないかと思います。
I have very fond memories of Dance Attack with the girls!They were so small!
返信削除Yes, they were so cute with their pink tutus. I still hold that one, becuase this is one of my memories from ballet.
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